先日、佐藤は自家用車を車検に出しておりました。
佐藤は長年同じディーラーさんを使っており、そちらの店舗で車を購入し、整備も全てお任せしておりますし、工場長と直接あれこれと話をしながら今回の車検を進めましたので何の不安もなかったものの、唯一、金額の面においてはなかなかのもので困ったのです。
そもそも、佐藤が普段使う車はけっこうな年数が経過しておりますので、買い替えも視野に入れておりました。
しかしながら、今回ではないだろうとの判断から車検を通すことにしたのですが、やはり長年乗っているとあちこちの整備が必要であり、中には比較的高価な部品などもありまして、最終的には、うへぇ~という料金になったのです。
このあたり、長年のお付き合いということもあるため、工場長には最大限の値引きをお願いして実現してもらいましたが、あらためまして、車の維持というのは費用がかかるなぁと感じました。
さて、そんな佐藤、今回の車検時に代車をお借りして数日間乗っていたのですが、そちらはちょうどタイミングよく新型車だったのです。
せっかくですので車内を色々と観察して、触ってみたのですが、便利な機能がたくさんありびっくりしました。
最初に驚いたのはスマホの充電器です。
シフトレバーの前方のスペースに携帯のバッテリーマークがついている場所があったことから、もしやと思い佐藤のiPhoneを置いてみましたら、ワイヤレスで充電が始まりました。
これは非常に良かったです。
「すごい便利!いいね!いいね!すごくいいね!」
と、思わず車内にてはしゃいでしまいました。
佐藤は、非常時に備えてや起床時にアラームが鳴ることを踏まえ、常に充電はしっかりとしておきたいのです。
また、ナイスシャッターチャンスを逃さないようにするためや、ツムツムのイベントをきっちりクリアするため、いついかなる時も北海道コンサドーレ札幌の情報を細かく収集するためという重要なミッションを遂行するためでもあります。
時に、周囲からは「充電マニア」と謎の称号で呼ばれることもありますが、けっしてマニアなわけではなく(充電方法や充電器にはまるで詳しくありません)、万全を期しているだけなのです。
次にびっくりしたのは、後部座席に関することでした。
後部座席に荷物を置いていると、なんと、エンジンを停止した際にはインパネ部分に「後席への置き忘れに注意してください」というメッセージとアイコンが出てくるのです。
これは、「リアシートリマインダー」という機能らしく、実際には後部座席のドア開閉履歴をもとにして発動するようなのですが、こちらも便利だなと思いました。
この機能があることで、アイスを買ったので急いで帰らなければと効率的なルートを考えに考えて帰宅したのに、後部座席に置いたまま部屋に入ってしまい、着替えてから灼熱の車内に忘れてきたことに気が付いたという事態は防げます。
また、いくつかの買い物の後に追加で買い足したビールを後部座席に置いておき、それを忘れて自宅に入り、お風呂にも入って、さて、というところで、あれ?ない!?あっ、ぽっかぽかの車内の後部か…、これ、冷凍庫に入れて冷え待ちだな…、という状況も回避できるのです。
さらに驚いたのは、スピーカーの音のクリアさでした。
朝の出勤時にはいつも同じラジオ番組をかけている佐藤ですが、代車にてその放送を聞いた時には、いつものアナウンサーの方の声が普段とは違うと感じるくらいにクリアであり、臨場感のある音だったのです。
これであれば、佐藤の好きなアーティストの曲を聴いた際などは、
「うん、このギターの音源、実に忠実に再現されているな」とか、
「ふむ、ベースのリズムが非常に聴きやすくて、安定感が増すようだ」ですとか、
「おぉ、ヴォーカルの細かな息づかい、繊細な歌唱技術が伝わるなぁ」だとか、
そんなことを多々感じられる気がします。
まぁ、そこまでの音楽的な聴く耳を佐藤が持っているのか、正確に感じ取っているのかと言われれば、かなり疑問ではあるのですが…。
あとは「SOSボタン」もありまして、こちらはすごく安心と言いますか、感心いたしました。
万が一、車両の不具合や体調不良などがあった際には、SOSボタンを押すことでオペレーターにつながり、位置情報をもとにして警察や救急車、ロードサービスへの連絡を行うというのです。
また、エアバッグが展開した際には自動でオペレーターに接続され、状況に応じて警察や消防と連携するとのこと。
これは本当にすごいことですし、色々なトラブルやアクシデントを心配することなくドライブできるのは素晴らしいと思います。
ただ、佐藤の場合ですと、
「食べ過ぎてお腹が痛いのですが、近くにきれいですぐ入れてしかも車を降りてからの距離も短く尚且つトントントントンとノックされる可能性のない落ち着けるトイレってありますか?」
などと聞く機会が多くあると思うのですが、そのような用事でボタンを押すのはやはり怒られるのでしょうね…。
これらの他にも、シートヒーターは温度調整が3段階になっていてより快適に過ごせそうでしたし、ハンドルにはステアリングヒーターがついておりました。
シートヒーターに関しましては、ふわっと、全体的にほわ~んと包み込まれるような温かさがありましたので、自身がドライバーであればうとうとしないように注意が必要なものの、助手席にて使用した際には気持ちよくなって寝てしまうこと間違いなしです。
まぁ、佐藤の場合、その後は汗だくになって目覚めることにはなるのですが…。
全ての機能を把握したわけではなく、触れないままのスイッチ類などもあったことから、まだまだ佐藤にとっては新鮮な機能が存在していたのかもしれません。
ここしばらくは何年もの間、新型車に乗る機会がありませんでしたので、今回は特に機能面の進化にすごさを感じました。
佐藤が自身の車を購入した時はその当時の最新のものでありましたので、いくつもの機能に驚いた記憶がありますが、今となってはそれらはごく当たり前のことになっております。
ご紹介したような機能、仕様はいつ頃からごく一般的なものとして装備されるようになったのかはわかりませんが、便利に、快適に、そして安全になっていくのは本当に良いことです。
佐藤が新車を購入するのはまだもう少し先となりますが、その時にはぜひ新機能を楽しみ、活用したいと思います。
そんなわけで、慣れない車ではあるものの、代車生活を楽しんでいた佐藤ではありましたが、ふと一点だけ気になることがありました。
それは、ドライブレコーダーです。
ドライブレコーダーそのものは装備されていますとメリットが多々ありますが、よくよく考えれば、代車内での佐藤の会話、独り言も全て記録されておりますので、ある意味かなりコワイことでもあります。
もちろん、何かとんでもない発言をしていたわけではありませんし、「工場長もっと値引きしてよ~」的なぼやきがあったわけでもないのですが(心では思っていましたが…)、もしも、万が一、代車を返却した際に佐藤の音声を聞かれたとしたらけっこう恥ずかしくもあるのです。
佐藤、代車を返却する前に、数日間における乗車時のことを色々と考えてみました。
運転中にまさかの暴言などを発していないだろうか。
⇒佐藤の性格的にそのようなことは(よほどのことがない限り)ありません。
車内で機密情報を漏らしていないだろうか。
⇒そもそも佐藤は機密情報は(ほとんど)持っておりません。
とんでもない大爆笑をしていないだろうか。
⇒残念ながらそこまでおもしろいことはありませんでした。
「えっ!?まじ?このお店なくなっちゃったのか~」的な独り言を呟いていないだろうか。
⇒たぶん言っていましたがそこはもうしかたありません。
歌っていないだろうか。
⇒歌っていました。と、言いますか、熱唱しておりました。
…というわけで、考えてみますと、やはり歌、それも熱唱が記録されているのが佐藤的には最も恥ずかしいことと言えます。
しかも、完璧な出来であればいいのですが、相当久々に口ずさんだ曲であり、歌詞やリズムがあやふやだったのです。
佐藤の中では色々な考えが頭の中を巡りました。
工場長へと代車を返却した際に、
「いや、あの、ほら、この歌ってかなりの久し振りだったんで、その、いまいちだったんですよ。別のテイクだともう少しまともだったし、自宅のお風呂で歌った時には自然なエコーもかかってそれはもう良かったんですけどね」
などと言い訳をすることも考えましたが、どのような出来であれ、そもそも佐藤が自分で満足するかどうかという程度のレベルの歌でしかありませんし、根本的な点で言えば、ディーラーさんの方が映像を見るということもおそらくはないだろうとも思います。
なのに、佐藤があえて何か発言したことにより、
工場長が「じゃあ聴いてみますね」となっても恥ずかしいですし、
黙っていて結果的にどなたかに見られてもやはり恥ずかしく、
じゃあ今からでも完璧でソウルフルでしかもアカペラではなく演奏を流した状態での佐藤的に満足Ver.でしっかり歌い切った音声を残しておく、というのも目的は一体何なのかとなるわけでして、
どうにも困ってしまいました。
そして、しばし考えた佐藤は決めたのです。
ポチッと、そう、サクッと、ドライブレコーダーの映像は削除いたしました。
念のためにお伝えしておきますと、熱唱している音声以外に何か怪しい理由があって削除したわけではありません。
また、全てを削除したというわけでもありません。
あくまでも歌、それも微妙な熱唱の動画を消したということなのです。
そんなわけで、佐藤がかなり久々に歌った『天体観測』の音源は代車のドライブレコーダーから姿を消しました。
その後、佐藤は自車、自宅にてこの歌の精度、出来を少しずつ高めているところです。
やはり自分の車が一番ですね。
リラックスして運転できることから、発声もスムーズですし。
昨今はドライブレコーダーの装着が一般的になっておりますので、今後も車検の際の熱唱には十分に気を付けなければと思っております。
しかしながら、全く歌うことなく車内で過ごすというのも佐藤にとってはなかなかに大変なため、気が付いたら鼻歌程度は口ずさんでいた、というケースは多々ありそうですが…。
路面状況が良くなり、タイヤ交換も完了してついついスピードの出てしまう季節になりましたので、皆様におかれましては、ご自身の車であれ、代車であれ、熱唱中でも練習中でも、録画されていることを気にするにしても全く気にしないにしても、どうぞ安全運転でお過ごしください。
以前にもお伝えしたことがあるかと思いますが、もし、佐藤が車内で熱唱している場面を皆様が目撃した際には、そっと目を逸らしていただけますと幸いです。
それでは。