皆様は、日頃路線バスに乗る機会はありますでしょうか。
通勤や通学などで利用されている方々ですと、乗車回数は非常に多いかと思います。
佐藤はと言いましたら、普段は車通勤のため、バスを利用するケースというのは限定的であり、年間で考えてもおそらく数回程度しか乗っておりません。
そんなバスに乗り慣れない佐藤でありますので、性格的なことも手伝って、利用する時には必ずある程度の余裕を持って自宅を出るようにしております。
現在ですとwebサイトやアプリから運行状況を確認できますし、当然ですが、遅れることはあっても時刻より早く来て行ってしまうということはないわけですが、それでも佐藤は早めにバス停に到着するようにしているのです。
さて、そんな中、少し前にバスに乗る機会が訪れました。
やはりその時も佐藤は余裕を持って自宅を出発しまして、徒歩3分ほどの距離にあるバス停に向かったのです。
それだけの距離ですので遅れる理由など何もなく、無事にバス停に到着しまして、念のために時刻表を確認しましたが特段の変更などもなかったため、バスが来るまでにはまだ時間があるという状況でした。
しばらくすると一人の男性の方がやってきまして、佐藤と同様にバスを待っていたのです。
その時、webサイトをちらっと見てみましたら、佐藤が乗る予定のバスはすでに出発済みであり、定刻通りに運行しているようでした。
よし、じゃあその後も予定通りに行きそうだな、などと乗り換えのことも考え安心していた佐藤の耳に、ある音が聞こえてきたのです。
「ブーン!」
「うひぇいぃっ!!」
佐藤、思わず何とも言えない声が出てしまいました。
あたりを見ると、その音からの予想通りに、かなり大きなハチが飛んでいます。
「うっわぁ…。やばぁ…」
ついついそんなひとり言を呟いてしまいました。
正確な根拠のないお話しとなりますが、ハチというのは同じルートで飛び、旋回する、というのを何かで見たことがあります。
確かに、経験上はそのような場面に何度も出会いました。
そうなりますと、先ほど飛んできた大きなハチが再び佐藤の近くにやってくる危険性がかなり高いわけでして……、
「ブーン!」
「ほらきたぁ!」
というわけで、やっぱりやってきて、またしても佐藤は声が出てしまったのです。
ところが、同じくバスを待っている男性は全くハチに気がついていないようでして、佐藤とは少し距離があったためなのか、スマホに夢中だったからなのかはわかりませんが、とにかく微動だにしておりませんでした。
ただ、時折出てくる佐藤の声にはやや反応している様子でしたし、何よりバスを待っているだけのはずのおじさんが手を振り回したり後ずさりしたりしながらわたわたしている姿には、やや違和感を持っていたものと思われます。
佐藤としましては、まず何よりも自身の身の安全が第一であると考えましたが、だからと言ってその場を離れてしまってバスに乗れないのは困るわけですし、あまりに騒いで男性の方から警戒されてしまうのも不本意だなと思いました。
なぜなら、そのバス停を利用するということは、面識はないものの比較的ご近所の方である可能性が高いからです。
まず落ち着こう、佐藤は自分で自分にそう言い聞かせながらも、視界はあちこちをぐるぐると巡らせており、最大限の警戒態勢をとっておりました。
ここで一点お伝えしておきますと、佐藤、虫という虫は全て苦手であり、特に刺す可能性のある虫についてはめちゃくちゃ嫌いなのです。
普段からブログをご覧の皆様であればわかっていただけるかと思いますが、佐藤的にはかなりピンチの状況でした。
周囲への注意は続けながらも、佐藤は自身のiPhoneを取り出し、再びサイトでバスの運行状況を見てみたところ、なんと、つい先ほどまで定刻通りに動いていたはずが、僅かに遅れ始めているではありませんか。
「な、なんてこったい…」
そんな普段では使わないような言葉を呟きつつ、佐藤はバスが早く到着するように祈りました。
その瞬間です。
「バサーッ!」
今度は、また別の音がしました。
そしてその直後に鳴き声がします。
カラスでした。
バス停の近くにある木々にいたカラスが、佐藤の頭上を飛んでいったのです。
実は、佐藤、カラスにもあまり良い思い出がなく、かなり昔ですが頭に当たるか当たらないかのすれすれのところかすめていったことがあるため、それ以降はかなり警戒をしております。
これは仕方のない部分もありまして、カラスは子育て時期になると子を守るために警戒心が強くなり、外敵と思われるものには威嚇をしてくるのです。
親としての気持ちはよくわかるものの、ただ、カラスにはカラスの事情があるように、佐藤には佐藤の用事があるわけでして、こちらからすれば何もするつもりがないわけなのでちょっと冷静になろうよと、そんな思いにもなってしまいます。
ただ、カラスがそんな佐藤の思いを理解できるはずもありません。
また、佐藤としましてもカラスとハチをダブルで警戒をする中では、自分自身が冷静を保つのが難しい状況でありました。
佐藤はあたりを見回し、頭上を注意しながら、再びバスの運行状況を確認したのです。
…。
……。
遅れが、さらに拡大しておりました…。
先ほどまでは僅かな遅れだったはずが、今度はまずまずの遅延になっています。
佐藤の心の中では、
「冬でもないのに~っ!何かのイベントがあるわけでもなさそうなのに~っ!そして始発の場所からそんなに離れてもいないのになんでこんなに遅れるんだよ~!ハチもカラスもいるのに早く来てくれ~っ!!」
と、叫んでおりました。
もちろん、見た目にはそのような雰囲気はなるべく出さず、ただキョロキョロしながらバス停のそばをウロウロ動いていたおじさんに過ぎません。
それでも落ち着きのない様子が十分に怪しさを醸し出しているであろうと佐藤は自覚しておりましたので、とにかく早くバスに乗りたい、バスよ早く来てくれ、バスよ来い来い早く来いと強く願い続けておりました。
その後は幸いなことに、ハチが飛ぶ音もカラスの声もしません。
しかし、いつまたその両者がすぐ近くにやってくるかはわからないのです。
佐藤は警戒を続けながら、再度バスの遅れを確認しようかと思った、その時でした。
「ビリビリビリーッ!」
「ぐわわわぁぁ~い!!」
おかしな音が聞こえて、佐藤、完全に取り乱しました。
一瞬のことでしたので詳しくは覚えておりませんが、おそらく、両手を大きく回しながらジャンプしつつ体全体を半回転させる、そんな動きをしていたように思います。
そのまま頭を地面に着けてくるくる回った後に両足を空に向かって掲げてポーズを決めれば、ブレイキンのようで実にcoolだったのかもしれませんが、そのようにかっこいいものではなく、慌てに慌てて咄嗟に出た動きに過ぎませんでした。
今度は何の音、これ…??
そう思いながら横に視線を向けると、少し離れた場所に立っていたバス待ちの男性が、どうやらご自身のバッグを開けるべく、マジックテープの部分を強く引っ張っていたようなのです。
そ、そんなに豪快に開けなくても…。
男性の動きを見ながらそのように思った佐藤でありましたが、それよりも何よりも、その方からすればただ単にバッグを開けただけなのに、変な声を出してバタバタ暴れているおじさんを見て完全に不審に思ったことでしょう。
その直後にバスがやってきましたのでハチやらカラスやらの問題は解決したものの、共にバス待ちをしていた男性の方とは、乗車の際や車内で近距離にて顔を会わせるわけにはいかないと思い、顔を伏せてそそくさと乗り込み、一番端に座って窓の外を見ておりました。
大変お恥ずかしいお話しです。
皆様はバスを待っている際の大変だったエピソードやおもしろいお話し、または愉快な方を見たなどはありますでしょうか。
毎日のように利用されている方であれば、季節毎に色々な出来事があるのではと想像いたしますので、お会いした際などはぜひお聞かせください。
ちなみに、今回お伝えした日以外にもそれほど間隔を開けずにバスに乗る機会があったのですが、その時にも同じバス停で再び「ブーン!」の音が聞こえて焦りましたし、その後には「ピュイ~ヨヨ~」のような謎の鳥の鳴き声も聞こえてかなりコワかったです。
この時のバスはほぼ定刻通りにやってきましたが、遠くに車両が見えた時には、「早く!」、「もっと早く!」、「ラスト~!」、「来い!来い!最後まで来い!」などと駅伝で襷を待つランナーのようにジェスチャーを交えて叫びたい気分でした。
まぁ、駅伝は見る専門で走ったことは一度もありませんが…。
バスについては、運転手さん不足など様々な課題があると認識しておりますが、運行会社様におかれましては、何とかして多機能バス停の導入について考えていただけますと大変幸いです。
虫除け機能付きのバス停とか、涼しいバス停とか、花粉を抑制してくれるバス停とか、励ましてくれるバス停とか、葡萄で作られた赤とか白とかの美味しい何かとそれに合うベストマッチな何かが出てくるバス停とか、そんなバス停であったら素晴らしいなと思いますので、もしも関係者の方がご覧になっておりましたらぜひご検討をお願いいたします。
それでは。