つい先日の朝のことなのですが、佐藤は出勤前にあるチョコドーナツを食べたり食べさせたりしておりました。
そのドーナツは中にチョコクリームが入っており、もちもち生地で、表面にはチョコのコーティングがされているものです。
美味しさは間違いないものの、口に運ぶ度に表面のチョコがぽろぽろぽろぽろと落ちてきまして、やや食べにくさを感じておりました。
そんな中、出勤時間が迫っていたものですから、さてそろそろ行こうかと思った時に、あることが起きたのです。
それは、ドーナツの表面からこぼれ落ちたチョコのかけらがどこにも見当たらないという事態でありました。
要冷蔵であったそちらのチョコドーナツ、表面のチョコは溶けやすいものであり、食べている最中も手や口につくなどして柔らかさを感じているほどでしたので、もしもかけらが床に放置されていて誰かが踏んだり、服にからまったままだったりしたら大変なことになるのは間違いありません。
その日の朝は夏とは思えない肌寒さでしたので、佐藤はブランケットを使用していたのですが、そこにチョコのかけらが落ちてついたままだとすれば、それもまた大変な状況になってしまいます。
佐藤はチョコのかけらを探しました。
しかし、見当たりません。
確かに、確かにぽろりと下に落ちたはずなのに、どこにもないのです。
佐藤は立ち上がり、自身のTシャツやハーフパンツを払ってみました。
でも、やはりありません。
次に、使用していたブランケットを広げて確認をしてみたのですが、それでもチョコのかけらは見つけられなかったのです。
おかしいなと思いつつも、出発の時間が迫ってきている佐藤は準備をする必要がありましたので、ブランケットをたたむことにしました。
その時です。
佐藤、一瞬視界に捉えた黒っぽいものが気になりました。
ブランケットは薄い黄色のものでしたので、本来はあるはずもない色です。
もしかして、と思いながらよく見てみると、ブランケットの端に2か所ほどチョコがついているのを発見しました。
うわぁ~、伸びちゃってるよ…、とがっかりしつつ、ウェットティッシュでさっと拭いたのですが、不思議なことに、落としたチョコのかけら自体はどうにも見当たらないのです。
床に落ちてしまったのではないかと思いましたが、そこにもありません。
ただ、ブランケットにチョコがこびりついているということは、かけらを落としたことはやはり間違いないわけでして、これ以上にあちこちについてはより大変であり、本音を言えばもっとしっかりと探したい気持ちでおりました。
ただ、出発の時間は迫っています。
すでに毎日恒例でチェックしているテレビでの今日の占いも終わってしまいましたし、これ以上に時間をかけていては、何かの原因で道路が混んでいた等々があった場合にかなりギリギリの出勤となってしまう可能性もあるのです。
佐藤は、どうかあちこちにチョコが付着するという事態だけは起こりませんようにと願いながら、出発の準備を進めました。
自身のiPhoneを手に持ち、目覚まし時計として使用している古いiPhoneを充電器から外そうとした、その瞬間です。
「えっ…。えっ?えっ?なに!?ナニコレ??」
思わずそんな声が出た佐藤、その目線の先にあるものはこびりついたチョコだったのです。
目覚まし用の古いiPhoneの本体に、チョコがついていたのでした。
これにはますます謎が深まり、佐藤の頭の中には「??」がいっぱいで、どういうことなのだろうかと不思議で、そのまま動きが止まってしまったほどです。
古いiPhoneは、佐藤がチョコドーナツを食べていた場所とはそう離れてはおりません。
しかしながら、落としたチョコのかけらがそんなところにまで飛んで行くだろうかという距離感ではあるのです。
よほど勢いよく飛ばないと到達しないでしょうし、古いiPhoneの前にはテーブルやらその他の物やらがありましたので、それらをうまいこと交わして辿り着くとも思えません。
チョコのかけらは、佐藤の真下に落ちたはずで、真っすぐ前に向かって飛んだなどはまず考えられないのです。
ではなぜ、使用していたブランケットだけではなく、離れた位置にあった古いiPhoneにもチョコがついているのか。
そもそも、ブランケットにしても、最初はチョコなどなかったはずなのに、いざたたもうとしたら発見したというのも謎です。
ないはずのところにある、この不思議でどうしようもない事態に佐藤は戸惑いました。
このままいくと、当院に到着してから佐藤のおでこにチョコで書かれた「肉」が登場したり、ワイシャツの左胸にチョコで描かれた「亀」の文字があったり、ワイシャツの背中にチョコで表現した「悟」の漢字が現れたりする可能性すら出てきます。
急に牛丼が好きになったり、「オッス!オラ佐藤!!」と挨拶をし始めるかもしれないのです。
さっきまではなかった場所にチョコのこびりつきが現れてはいないだろうか、そんな心配が浮かんできまして、佐藤はリビングの真ん中に立ったまま、テーブルの上やボックスティッシュの箱やテレビやエアコンのリモコンなどに目を向けてみました。
しかし、見える限りではそれらに問題はなく、探しているチョコのかけらはどこにもありません。
次々にチョコの跡が増えていくというかなりコワイ状況にまではなっていないものの、その時点で起きている現象は理解不能でありました。
ただ、もうそれ以上に時間をかけるのは難しく、佐藤は着替えるしかなかったのです。
そして、何気なく、本当に何も意識をせずに、佐藤が自身の左手を見たところ、え~、これは本当に衝撃だったのですが、はい、なんとですね、薬指の根元にべっとりと、それはもう指等々の隙間までしっかりと、チョコがめりこんでついておりました…。
「うへえぇぇぇ~い!?」
佐藤からは、何とも表現が難しい声が漏れてしまいました。
探していたチョコのかけらは、自分の薬指の根元にあったのです。
チョコドーナツを食べ終えた後、佐藤は指先を拭きましたが、その時は、特段の変化には気がつきませんでした。
確かに、じっくりゆっくりと観察しながら拭いたわけではなく、テレビの占いを見ながらでありましたし、佐藤の星座は2位で喜んだものの、「恋愛運が好調」とあってどうしたら良いものか、いや、どうにもならないしそもそもどうこうするはずも何かが起こるわけもない、と考えながらであったという点はあります。
それでも、ここまで大胆に、チョコで作られた指輪かのようにしっかり佐藤の薬指についているものをなぜ見つけられなかったのか。
朝からとても恥ずかしくなりました。
ブランケットにしても、古いiPhoneにしても、全て佐藤自身の指についたチョコがこびりつついていたのです。
それ以上は拡大していないことだけが、唯一の救いでありました。
一歩間違えば、佐藤はチョコまみれの指でワイシャツやスーツを着て、バッグを持って、車を運転していたわけですから、考えるだけでおそろしいです。
何も気がつかずに当院に到着してタイムカードを押し、帰宅時の打刻の際にチョコがついているのを発見したら、いよいよ震え上がっていたことでしょう。
と、いうわけで、ブログをご覧の皆様におかれましても、溶けやすいチョコドーナツを食べる際には十分にお気をつけください。
また、探し物というのは往々にして意外な場所から出てくるものですので、佐藤の体験談を参考にしていただけましたら幸いです。
なお、この日につきましては、ご紹介したエピソードがあり着替え始める時間がかなり遅くなってしまったにもかかわらず、いざ車に乗り込もうとしたらロックが開かず、そもそも車のキー自体がないという事態も発生いたしました。
急いで自宅に戻りあれこれ考えながら探したところ、本来であればその日に車内に持ち込む予定であったものの時間がなくてやめた紙袋がありまして、その中から車のキーが出てきたのです。
よく考えましたら、佐藤自身が紙袋の中にキーを入れておいたのでした。
前日の夜に、紙袋の持ち忘れ防止システムを発動していたのに、それ自体を忘れていたとは、なんともこちらもお恥ずかしい話です。
結果的には遅刻などすることなく、無事に出勤できましたが(もちろん安全運転で)、やはり予定とは違った何かが起きた時にこそ、冷静に且つ的確に動いていかなくてはなりません。
そんなことをあらためて感じた朝でありました。
自身の感情が揺れ動く時、メンタル的に変動がある時、そのような場合でも、無理に忘れるのではなく自然に受け入れて、必要なものはしっかりと捉えて、考えて行動し発言することが大切ではないかと思います。
まぁ、なかなか難しいことではありますし、時に感情はしっかり出しておいた方が良い場面ももちろんありますが…。
なんだなんだと朝から大変だった今回の件ではあるものの、それらがあったことでこうしてブログが一つ完成したというのは前向きに捉えたいと考えております。
よくブログ内でも綴っておりますが、やはりポジティブに過ごすことでより楽しくて良い傾向の日々になりますので。
ちなみに、現段階ではまだ今年の「第1回自宅の草むしりフェスタ ~暑さと虫と腰痛と戦う夏~」は開催されておらず、庭もミニ畑も家の周りも人工芝の端もその他の場所も全てボーボー状態ですが、それすらも何とかしてポジティブに捉えていきたいと考えております。
それでは。