もうかれこれ3ヵ月ほど前のことになりますが、清掃スタッフより、「外にある物置の引き戸の建て付けが悪く、スムーズに開閉できません」との相談を受けました。
よくよくお話しを聞きますと、すんなり開け閉めができないだけではなく、場合によっては引き戸が外れてしまうというのです。
やや高い位置に基礎をしっかりと作って固定されているそちらの物置、もしも引き戸が外れて落下してしまった場合には、状況によりスタッフの自家用車にぶつかってしまうという事態も考えられる状態でした。
そこで、早急に修理が必要と考えたわけですが、それでなくともDIYなどに馴染みのない佐藤、自ら直すことなどできるわけもなく、まずは業者さんにご連絡し状況を確認していただいたのです。
すると、引き戸の戸車が破損してしまっている上に、下側にあるレールにも歪みがあるということがわかりました。
業者さんはレールの修正を試みてくださり、幾分はスムーズに動くようになったものの、根本的な解決のためには戸車の交換が必要であるとの判断であったのです。
ところが、そちらの物置にはそもそもの大きな問題がありました。
それは、どこのメーカーの製品なのかが全くわからないということです。
物置の外周をぐるりと見てみても、中に入って上やら下やら引き戸の裏やらを確認しても、全くもって、どこにもそのヒントすらありません。
老朽化等によってメーカー名が取れてしまった、などの事態はよくあろうかと思いますし、それでもどこかには僅かな名残りがあったりするものですが、こちらの物置については本当に何一つ見当たらないのです。
そんなこともありまして、製造元メーカーではない別の業者さんに来ていただいたわけですが、その担当の方からしても、どこが製造したものがわからない以上は部品の調達に困ってしまうとのお話しでありました。
そちらの業者さんはあちこちのホームセンターや関連会社等で部品を探してくださいましたし、また、自社の在庫なども確認していただいたものの、これだという戸車は見つかりません。
佐藤は、まず安全面を考慮して落下の危険性がある引き戸はクローズとし、注意喚起の張り紙をして、もう一方の比較的スムーズに動いている扉のみを使用する状態にしました。
ただ、このままというわけにもいきません。
佐藤はインターネットにて、この物置がどこで作られたどんなメーカーのものであるかを探すことにしました。
唯一の特徴として、引き戸の表面にはエンボス加工された樹木のような絵がありましたので、そこを手掛かりとして検索をしたのです。
ところが、なかなかこれと思われるものが出てきません。
それならばと、佐藤は周囲のスタッフ、特に当院での勤務歴が長い職員に色々と聞き取りをしてみたのですが、その誰もが「わからない」との回答であったのです。
しかしながら、スタッフと会話をしている中であるキーワードが出てきました。
それは、当院に設置されている多くの物置は同じメーカーだということです。
見てみますと、なるほど、確かに、いくつかある物置の外側には全て同じメーカー名がしっかりと確認できます。
つまり、この状況から、引き戸が壊れている物置も他のものと同様の会社の製品なのでは、という予測が成り立ったのでした。
そこで、佐藤はそのメーカー名と特徴を頼りにして再びネット検索を開始したところ、なんとなく似ている物置を発見したのです。
完全一致ではありませんでしたが、これは当院に設置されているものがかなりの年月が経過しているため、現行品とはデザインが変わっているのではと考えました。
そして、佐藤はそちらのメーカー、当院で使用している他の物置と同様の製造元のお問い合わせフォームを使い、写真を添付して相談をしたのです。
すると、
そうです、
そうなんです、
担当者の方がすぐに返信をくださいまして、
なんと、
なんとなんと、
そちらのメーカーの製品、
ではない、ということが判明いたしました…。
大変がっかりした佐藤でしたが、メールでやりとりをした担当者の方より、「○○○○社製」のゴミ集積庫ではないでしょうか、との情報をいただいたのです。
大きな希望の光が見えました。
物置の内外を探しに探し、スタッフに聞きに聞き、そしてネットで検索に検索を続けた佐藤にとってはとても貴重な情報です。
早速、佐藤は教えていただいた会社のホームページにアクセスし、お問い合わせフォームに情報を入れてご相談しようと試みました。
ところが、先ほどやりとりをさせていただいた会社とは違い、写真の直接添付ができません。
佐藤はまずお問い合わせフォームに状況を説明する文章を打ち込み、メールアドレスなどをご提供いただきたい、写真を添付したい旨をお伝えしたのです。
すると、そちらのメーカーの担当者の方もすぐに連絡をくださいましたので、佐藤はメールに物置の写真を添付し、お送りしました。
気になる結果ですが、
そうなんです、
今回こそ、
今度こそ、
今後のためにもなんとか、
これで見つかってほしい、
どうか、
どうか、
お願いします、
そんな気持ちでメールを確認しましたら、
なんと、
なんとなんと、
「弊社の製品と思われます」
との回答がありました!
ついに、ついに見つけたのです。
やっと正解に辿り着きました。
そして、大変ご丁寧に、メールには製品の組立て説明書やいくつかの部品の画像などを添付してくださっていたのです。
ただ、ここでまた一つ問題が発生いたしました。
メーカーの方によれば、2006年に仕様変更を行ったとのことであり、旧型の物置については廃番になって年数が経過していることから、戸車以外の部材は供給を終了しているというのです。
そういった事実は知ったものの、お伝えしましたように当院の物置からは製造に関する情報を見つけられませんでしたので、実際のところ旧型なのか新型なのかの判断はつきません。
まずは実物を見ていただくしか方法はなく、メールでやりとりをした担当の方からお聞きした札幌営業所の連絡先に電話をしました。
営業所では直接に修理に出向くのではなく、担当する業者さんを紹介してくださるとのことでしたので、今度はそちらの連絡先を教えていただき電話をしたのです。
そうしましたらやはりまずは実際に物置を見たいとのお話しとなり、ようやく本来のメーカーの、当院のエリアを担当する業者の方が来てくださることになりました。
さて、その当日ですが、実物を見ていただきましたら、やはり仕様変更前の物置であろうということになり、破損しているのは一番最初の業者さんが指摘した通り、戸車と下のレールという結果になったのです。
そのまま修理を依頼したものの、古いものなので部品の取り寄せに1ヵ月ほどかかりそうとのことであり、またレールの傷みなどを見ても戸車の交換で完全に直るかどうかはやってみなければわからないとのお話しでした。
それはそれで不安があるものの、他に方法はありません。
佐藤はそちらを承諾し、待機期間が長いなと思いつつ過ごした日々を経て、ある日、部品が届いたので修理に来てくださるとの連絡を受け、日程調整を行いました。
修理日が決まり、清掃スタッフにもそのことをお伝えしましたら、「これで安全に、よりスムーズに業務ができます」、「とても助かります。お手数をおかけしました」など感謝していただき、佐藤としましても色々な検索と聞き取りとやりとりを経てここまできたので本当に嬉しかったです。
そしていよいよ修理の当日、当初に来ていただいた状況確認や見積りを担当している方とは異なり、まさに職人さん的な方が来院されまして、頼もしいお言葉を残して作業に取りかかりましたので、佐藤はこれで一安心だと思い自身のデスクで業務をしながら完了の時を待っておりました。
すると、すぐに外来受付のスタッフより佐藤の院内PHSに連絡が入り、先ほどの職人さんが来ているというのです。
ものすごく頼りになりそうな方ではありましたが、それにしても聞いていたよりもあまりに早い仕上がりでしたので佐藤は大変驚き、すぐに駆け付けました。
「いや~、ものすごいスピードでしたね!素晴らしいです!ありがとうございます!」
テンション上がり気味で話す佐藤に、職人さんは言いました。
「あの~、申し訳ないんですけど、今日、修理できないんですよ…」
佐藤、とても驚きました。
雨が降り出しそうな勢いでもありましたので、もしかすると雨天中止なのかも、とも考えました。
こう見えて実はとてもユニークな方で、本当はすでに作業が完了したのに、佐藤をびっくりさせようという職人さんジョークなのでは、などとも思いました。
しかし、理由は違ったのです。
職人さんは言いました。
「こちらの部品で修理するように言われて来たんですけど、引き戸をを外してみたら全然違う戸車なんですよね…」
佐藤、しばらく言葉が出てきませんでした。
ここまでの長き道のりが思い出されます。
ようやく、ようやく真実を突き止め、いよいよという時になってなぜ、部品が違うのか、佐藤には当然ながら意味がわかりません。
詳しいことはまた会社からご連絡します、と言い残し、職人さんは帰られました。
その後、すぐに見積り等を担当された方からお電話がありまして、詳細をお聞きしたところ、結果的には2006年の仕様変更後の部品を誤って取り寄せてしまい、旧型を使っている当院の物置には使えないということであったのです。
…。
……。
初歩的…。
しょほてき…。
ショホテキ…。
syohoteki…。
yeah…。
劇的 初歩的 圧倒的
客観的には素敵?No!初歩的!
と、いう感じで思わずラップ調になってしまいかねないほど、リズムと共に初歩的という言葉が浮かんできたのが正直なところなのですが、かと言ってどうすることもできません。
業者の方はここまで大変丁寧にお話しを進めてくださっておりましたのでクレームなどを言うべきではないと思いましたし、佐藤的には、
「さすがにそんなことってあります?」と口にしてしまうとか、
ご紹介したラップ調にて「Come on!syohoteki! syohoteki!Here we go!」と電話口でリズムを刻むとか、
「やっとつかんだチャンスなんだ…!!」と力強く宣言するとか、
そのようなことをしても意味がないと十分に承知しております。
そんなわけで、再び部品の入荷待ちとなり、おまけに旧型のためより時間を要するかもしれないとのお話しになりました。
いつになったらこの件は完了するのだろうか…、これまでの経過も踏まえそんなことを思ってしまった佐藤ではありましたが、実はつい先日に業者さんよりご連絡がありまして、いよいよ来週に本来の部品が届いて修理を行うという予定になっております。
ここまでの長い道のりはご紹介した通りでして、佐藤としましても「物置の引き戸一つにここまでかかるとは…!」というのが素直な気持ちなのですが、その分、色々な経験ができ、またブログにもなりましたので、良かったと感じているところです。
もちろん、来週の修理が無事に終わることが前提ですが…。
ここまできてさらに何かが起こるのかどうか、それはまだわかりません。
もしかすると、ブログの読者の皆様からしますと、何かが起きることに期待してしまうところもあるのではないでしょうか。
佐藤のことだからそのまますんなりと完了にはならず、ちょっとしたおもしろい出来事が発生するのでは、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、佐藤自身もそのように感じるところが僅かにはあります。
先日も、夕方の帰宅ラッシュでぎゅうぎゅうの満員の地下鉄に乗った際、あるおじさまがポップコーンのおそらくレモン味の袋を持ち、その状況下でモグモグモグモグと、それはもう間髪入れずにパクパクパクパクと食べているという場面に出会いました。
手すりもまともに掴めない中、佐藤は暑いやら揺れて周りの方にぶつかるのが申し訳ないやら思っている混雑しまくりの地下鉄の車内なのに、そのおじさまの周りだけはもしかして映画館なのではないかと思ったほどです。
話しを戻しますと、物置の件は完結が近いものの、油断はできないのが実際かとは思います。
ではなぜ、全てが終わってからのブログ投稿にしなかったのか、そう考える方もいらっしゃることでしょう。
佐藤自身もそれが一番良いかもとは思いましたが、ありのままに現状をお伝えしますと、諸々の事情により今回はブログ投稿日までのスケジュールがタイトだからです。
まぁ、簡単に言いますと、時間がない中で且つこんな時に限って記事のストックもなく書いている状況となっております。
また、現段階では右手中指を僅かに負傷しており、タイピングのスピードが上がらないという点も少しだけ関係しているのです。
長年ブログを書いていれば、このようなこともあります。
やや駆け足に仕上げた本日のブログですが、いかがでしたでしょうか。
またすぐ金曜日にも更新日はやってまいりますが、何かに追われている感ではなく、佐藤の中だけでは売れっ子作家の気持ちになって楽しくブログを書いていきたいと思います。
なお、物置の修理に関しましては、大きな問題にならない範囲にておもしろい何かがラストに起こるのがベストかと考えておりますので、ぜひ皆様におかれましても適度な笑えるハプニングを願っていただけますと幸いです。
それでは。