わらしべ佐藤。

2025年9月19日金曜日

t f B! P L
こんにちは。佐藤です。

いきなりですが、皆様、「わらしべ長者」のお話しはどのように感じられますでしょうか。

わらしべ長者と言えばおとぎ話の一つでありまして、貧しい暮らしをしていた方がワラ1本を持って旅に出たところ、物々交換を繰り返して大金持ちになるというサクセスストーリーです。

佐藤は、夢があるなぁと思うと共に、もし、もしも、自分自身であったらどんな展開があるのだろうと想像をしてみました。

そんなわけで、本日は『わらしべ佐藤』のお話しをお送りしますので、ぜひお付き合いいただけますと幸いです。

それでは早速。



札幌の手稲区のあるところに、佐藤という一人の男がいました。

佐藤は日々あれやこれやと慌ただしく過ごす中で、たくさん蓄えてしまったお腹のぜい肉をどうにもこうにも落とすことができず、困り果てておりました。

「この脂肪を減らそうにも、なかなかそのための時間や体力がない。せめて何か良いことが自分に起きないだろうか」

そう思った佐藤は、手稲区に住む者なら誰でも知っている気高き山、「手稲山」に心からの強い願いをかけたのです。

そうすると、どこからともなく声が聞こえてきました。

「佐藤よ、そなたの願いを叶えたければ、目を開けた瞬間、一番始めに見たものを大切に持って旅に出なさい」

願いを込め、佐藤が目を開けると、あるものが見えました。

それは、一枚のティッシュでした。

鼻炎の佐藤が鼻をかむために先ほどボックスティッシュから取り出した際、目の前に落ちてしまっていたのです。

「これを持って旅に出るということか…」

最初は半信半疑の佐藤でしたが、手稲山のお告げを信じることにし、ティッシュ一枚を持って旅に出ました。

佐藤が最初にやってきたのは、自身の職場である「ていね泌尿器科」です。

院内に入り歩いていると、ナースステーションの方から何やら声が聞こえてきました。

「わ~!きゃ~!どうしよ~!!」

佐藤が急いでナースステーションに行ってみたところ、一人の看護師が床を見て慌てています。

どうしたのかと佐藤が聞いてみると、クモが出て捕まえようとしたものの、ティッシュがちょうどなく、物品庫に取りに行っている間に行方がわからなくなる心配もあるため騒いでいたのです。

虫用のスプレーを用いて撃退するのではなく、あくまでもティッシュを使って外に逃がしたいという看護師の話しを聞き、佐藤は自らが持っていた一枚のティッシュを差し出しました。

佐藤にとっては自らがクモを捕まえるということは極めてハードルの高いミッションでしたが、大切に持っていたティッシュを提供することはできたのです。

佐藤がティッシュを看護師に渡し、少し離れたところから応援していると、無事にクモを捕獲して自然に帰すことに成功しました。

「ふぅ。いやぁ、本当に焦りました。ちょうどいいタイミングでティッシュをいただけて、本当に助かりましたよ。お礼に、もしよかったらこれを食べてください」

看護師が持っていたのは、白い恋人のホワイトとブラック、それぞれ一枚ずつでした。

佐藤はティッシュと交換する形で、白い恋人二枚を手に入れたのです。

そのままさらに院内を歩いていると、むーたんに出会いました。

むーたんはこう言いました。

「いや~、今日はこの後に夜間診療の当番なんですが、ごはんを持ってくるのを忘れてしまったんです。今夜は職員食堂も利用できないみたいで、買い出しに行く時間もないし、困りましたよ…」

ぐぅぅ、とお腹を鳴らし、困っている様子のむーたんを見て、佐藤は白い恋人二枚をあげることにしました。

「いいんですか!?じゃあ、いただきます!」

喜んだむーたんは立て続けに白い恋人のホワイトとブラックを食べ、こう言いました。

「そうだ、お礼に、もし良かったらこれをどうぞ」

むーたんがくれたのは、East i-D(イーストアイ・ダッシュディー)の写真でした。

大変に珍しいレアな電車の写真で、むーたんが自ら撮影したものです。

佐藤は写真を受け取り、今度は手稲駅に行くことにしました。

手稲駅の改札前にあるコンコースに到着したところ、ある年配の男性が大きなカメラを構えて電車を撮影しています。

佐藤が話しかけてみると、男性はこう言いました。

「電車の写真を撮るのが趣味で、色々なところに行きました。でも、今は仕事が忙しくて遠出はできません。本当は、East i-Dという珍しい電車を撮影しに行きたいのですが…」

佐藤はなんというすごいタイミングだろうと思い、むーたんからもらったEast i-Dの写真を取り出して男性に見せました。

「えっ?えっ!?すごい!すごいですね!その電車!その写真を撮りたかったんですよ!うわぁ、いいなぁ~。あの、その写真、譲ってもらえませんか?」

佐藤が承諾すると、男性は持っていた紙袋から何かをたくさん取り出しました。

「これ、手稲区のマスコットキャラクター、ていぬくんのグッズです。ていぬくんが好きで色々な新しいグッズを買ってきたところだったんですよ。もしこれでよければ、写真のお礼に受け取ってください」

佐藤は写真との交換で、ていぬくんのグッズをたくさんもらい、手稲駅から外に出ました。

すると、まさに本物のていぬくんが広場にいるではありませんか。

たくさんの人々が集まっており、ていぬくんとの撮影会をしています。

佐藤が近くまで行ってみると、小さな女の子とお母さんが特に熱心に、そして楽しくていぬくんと触れ合っていました。

女の子が佐藤に気が付いて話しかけてきます。

「うわ~!すごい!おじさん、どうしてそんなにたくさんのていぬくんグッズを持っているの?ほしい!ほしいほしい!」

女の子のお母さんは言いました。

「この子は産まれたのがこの手稲区で、ず~っとていぬくんのファンなんですよ。でも、一昨年に夫の転勤で札幌を離れてしまって…。今日は久し振りにていぬくんに会ったんです。あの、大変無理なお願いですが、そのグッズ、よろしければこちらと交換していただけませんか?」

そう言うと、旅行バッグの中から何かを取り出します。

「これ、今私達が暮らしている函館のクラフトビールのセットとワインです。本当は親族へのお土産だったのですが、急に会えないことになってしまって…。お願いします、こちらとていぬくんグッズを交換してください」

佐藤は考える時間はほぼなく即決で快諾し、ていぬくんグッズとの交換で函館のクラフトビールのセットとワインを手に入れました。

女の子が喜ぶ声を聞きながら、佐藤は旅を続けます。

歩いていると、あるコンビニの前をうろうろしているスーツ姿の若い男性がいました。

怪しいなと思い、動向を観察していると、何やら独り言を呟いています。

「むむぅ、買うべきか、買わないか、でもなぁ…。いや、ビールくらいなら何とかいいだろう。いやしかし…。ワインだけ、ってのはダメかな、厳しいか、うぅん…」

気になるワードが聞こえた佐藤は、その男性に話しかけてみました。

すると、結婚したばかりだというその若い男性は、奥さんから節約が大事と言われ、大好きなお酒を控えているというのです。

しかし、日中の暑さと夜の涼しさが同居するこの秋にあっては、ビールを飲んで喉を潤し、それから静かにワインを飲みながらリラックスしたいと切に願っていたのでした。

佐藤は、手に持っていた函館のクラフトビールとワインを男性に見せました。

「そ、それは、も、もしかして函館の!?僕、そのお酒が大好きなんですよ!ど、どうか、僕にいただけませんか?もちろんお礼はします!あ、いえ、その…、お金は払えないのですが…」

佐藤は承諾し、お礼とは何なのかと聞いてみました。

すると、男性は持っていたビジネスバッグからある色紙を取り出したのです。

「これ、僕が長年追いかけていたアイドルグループの直筆サインです。メンバー全員のが入っているとても貴重なものですよ。でも、もうこれからはいらないので、どこかで売るか、誰かにあげようと思っていたんです」

佐藤は函館のクラフトビールのセットとワインを男性に渡し、アイドルグループの直筆サイン色紙を手に入れました。

プシュ!っとその場で男性がビールを開けてとても美味しそうにぐびぐびと飲むのを見てから、佐藤は再び旅を続けます。

佐藤が次に訪れたのはプレミストドームでした。

その日はアイドルグループのライブが予定されていたのです。

周囲はたくさんの人々で溢れています。

佐藤は、先ほどもらったサイン色紙を首からぶら下げて辺りを歩いてみました。

すると、一人のおばあさんが話しかけてきたのです。

「あの、お兄さん、そのサインは本物なのじゃろうか?」

佐藤は答えました。

「はい、本物ですよ。写真もありますから」

佐藤は、先ほどの男性がアイドルグループのメンバー達がサインを書いているところを撮影した証明書代わりの写真をもらっていたのです。

「な、な、なんと!そうか、本物なのじゃな!そして、なんということか、メンバー全員のサインが大集合ではないか!」

話しを聞くと、そのおばあさんの孫はアイドルグループの大ファンで、本当はこの日のライブに一緒に参加する予定だったものの、風邪をひいてしまい高熱が出ていることから娘と共にやってきたというのです。

「お兄さん、どうか、どうかそのサインをお譲りいただけないものか。孫が、可愛い孫が大好きなグループの、いや、え~と、なんじゃったかな…、そう、推しのグループの直筆サイン、どうしてもプレゼントしたいのじゃ」

佐藤はすぐに返答し、サインを渡すことにしました。

「おぉ、おぉ、ありがたい。これで、きっと孫も今日のこのライブに来られなかった悔しさが晴れて、大いに喜ぶじゃろうて。さて、お兄さん、こんなに貴重なもの、ただでもらうわけにはいかん。ほれ、どうかこれを受け取ってくださらんか」

おばあさんはアイドルグループのうちわが飛び出しているリュックを肩からおろし、その中から何かを取り出しました。

「本当はの、これ、市に寄付しようとしていたのじゃ。誰かがこのために争っても困るからのう。でも、お兄さんならきっと、うまく使ってくれるじゃろう」

そう言い残して、おばあさんと娘はプレミストドームの中へと向かいます。

おばあさんからもらったのは、折りたたんでファイルに入れられた紙でした。

よく見ると、札幌市内郊外の住所が書かれています。

それは、土地の権利書でした。

おばあさんはアイドルグループの直筆サイン色紙との交換で、佐藤に土地をくれたのです。

佐藤は早速その場所に向かいました。

広大な、とまではいきませんでしたが、広い土地がそこにはありました。

でも、周囲にはこれと言った何かがあるわけではありません。

お世辞にも、これから土地の価値が上がるとか誰かが欲しがるだろうなどとは思えませんでした。

「この土地、どうしようか…」

ティッシュ一枚から始まった旅で、こんな土地を手に入れたのは大きな成功です。

でも、この土地を使ってどうすれば良いのかがわかりません。

あのおばさんの言葉と顔が浮かんできて、もしも売れることになっても簡単には売りたくないなと、そんなことを佐藤は思いました。

そして、佐藤は空を見ながら呟いたのです。

「とりあえず、走ってみるか」

何もない土地の上を、佐藤は走りました。

久し振りに走ると、すぐに息が切れてしまう上に、足や手も筋肉痛になりそうです。

でも、どこか気持ちいいな。

佐藤はそんな風に思いました。

このままいつもこの場所で走り続けたら、いつかはスリムになるかもしれない。

そんなことも考えました。

もうこれ以上は走れない、そう感じ始めた頃、佐藤は何かにつまづいて転んでしまったのです。

「い、いたぁ…。な、なんだ?これ?」

佐藤は土地の中から飛び出ているいびつな形状の何かに引っかかって転んだものの、その正体がわかりません。

佐藤は、そのまま手で掘り起こしてみました。

すると、そこから長い棒のようなものが出てきたのです。

しかも、一本ではありません。

さらに掘り進めるとまだ出てくる上に、よく見ると異なった形のものも埋まっていそうです。

「こ、これ…、化石…!?」

佐藤は、考古学の専門家である自身の出身大学の教授に連絡を取り、化石と思われるものを鑑定してもらうことにしました。

すると、なんと、それは間違いなく化石であり、しかも大変貴重な新種のものであることがわかったのです。

鑑定をした教授は言いました。

「お願いがある。うちの大学の展示室の目玉として、どうかこれを譲ってほしい!頼む!」

佐藤は教授からの打診を受け、それを承諾しました。

すると教授が言います。

「ありがとう。このお礼と言ってはなんだが、うちの大学で教えてみないか?君のブログが好評なのは知っている。だから、それに関するテーマで学生達に話してあげてほしいんだ。大学側には、報酬は弾むように言っておくよ。なんせ、とんでもなく貴重な化石を寄付してくれたんだからな」

こうして、佐藤は大学の教壇に立つことになったのです。

佐藤は来る日も来る日も、学生達に向け、ブログやその書き方、そしてコミュニケーションについて自身の持てる全ての知識や経験を教えました。

そんなある日、学生からある話しがあったのです。

「佐藤さんの講義のこと、SNSですごく話題になってますよ!」

その直後のことでした。

ある大企業から、社員向けの講演をしてもらえないかと頼まれたのです。

佐藤は快諾し、大勢の社員の前で話しをして、大変な好評でありました。

最初は1度だけの講演の予定でしたが2回、3回、4回、5回と続いていき、その度に参加者も増えていきます。

やがて、佐藤はその大きな社屋の中が自然と詳しくなっていました。

講演後、時間があった佐藤は社内をうろうろしていると、ある部屋から声が聞こえてきたのです。

「どうにかして画期的なお菓子を作るんだ!これからのお菓子界をリードするような、見たこともないとんでもなく美味しいお菓子を!」

どうやら、商品開発部の部屋のようでした。

しかし、その雰囲気はあまり良さそうには見えません。

責任者と思われる方は気合い十分ですが、それを聞いている社員の方々に覇気はないのです。

佐藤は思わず中に入ってしまいました。

「えっ!?あ、あぁ、佐藤さん。お世話になっております。今日も講演でいらしてたのですか?」

責任者の方に挨拶をして、佐藤は部屋の中を見渡してみました。

ホワイトボードに書かれたたくさんのアイディア、デスクの上に散乱している試作品、そして疲れ切ったスタッフの顔。

佐藤は、それらの情報と状況を見た瞬間に、先ほどまで話していた自身の講演内容とこれまでの経験とお菓子大好きな気持ちとあれやこれやと勢いにセンスにチャレンジャーな思いがミックスされて、これが食べたい、これが最高、というアイディアが出てきたのです。

そのアイディアを伝えると、商品開発部の責任者の方もスタッフも、顔や雰囲気が一気に明るくなりました。

結局、佐藤が考えたアイディア、特にその製法は特許を取得することに成功、これを商品化すればとてつもない大人気になるであろうことは間違いなしだったのです。

そんな中、佐藤は社長さんがぜひ会談をしたいと思っているとの話しを聞きました。

すぐに応じると、社長さんはこう言ったのです。

「佐藤さんの考えたアイディア、特許は素晴らしく画期的です。これを我が社で採用し、商品化すれば、お菓子業界が大きく変わる可能性すらあります。どうか、この特許についてロイヤリティ契約を結んでいただけませんか」

佐藤は考えました。

お菓子が大好きな者として閃いたこの特許は、大きな自信がある、もし、社長さんの言うように契約をすれば、自分はきっと大金持ちになれることだろう、と。

手稲山に願った時から、この日までに起きた様々なことが思い出されます。

そして、物々交換をした人達の顔も浮かんできました。

佐藤は考えます。

これで、ティッシュ一枚から始まった旅は終わる。

このままいけば予想もしなかった成功になり、自分の脂肪を落とすためのパーソナルジムだって専属トレーナーだって管理栄養士監修の食事だって、思いのままだろう。

でも、本当にこれでいいのだろうか。

佐藤は考えに考えて、答えました。

「社長さん、お願いがあります。聞いていただけますか?」

佐藤は正直に、今の佐藤が一番すべきことは何かを考えて伝えました。

「それで、本当によろしいんですか?」

「えぇ、もちろん。よろしくお願いします」

こうして、佐藤が考えたアイディアで取得した特許によって開発されたお菓子は無事に商品化され、社会現象になるほどのとてつもない売れ行きとなり、莫大な売り上げを記録しました。

その大企業は、歴史的な売り上げをもとに、佐藤との約束を果たすため北海道コンサドーレ札幌のメインスポンサーに就任。

チームはJ1へと復帰し、その翌年には大きな資金で得た戦力と地元生え抜きの若手選手とベテランが融合して、見事、初タイトルを獲得したのでした。

佐藤は、毎日手稲山に感謝しながら、今も慎ましい生活を続けています。

お腹の脂肪はあの頃と変わりません。

でも、週末には赤黒のユニフォームに身を包み、ホームでの試合は全てゴール裏で観戦し、全力で応援し、勝利に歓喜して幸せに暮らしましたとさ。

おしまい。



と、いうことで、佐藤Ver.のわらしべ長者である、『わらしべ佐藤を』をお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

途中からは物々交換ではなくなっていたところは、まぁ、佐藤のブログですのでご容赦ください。

最終的には、自身が大金持ちになるよりもコンサドーレのタイトル獲得を優先した佐藤、自分で言うのは自由ですので言ってしまいますが、素晴らしいですね(笑)。

なお、内容につきましては完全なるフィクションとなっておりますので、実話に基づいた部分は全くありません。

佐藤はていぬくんLoveでありますので、実際にはそう簡単にグッズとの物々交換をするわけではなく、もうちょっと考えることと思います、た、たぶん…。

魅力的なものとの交換を打診されたら、やっぱりかなり迷いますよね…。

実際にこのような展開になったらかなりHappyだと思いますので、当院からも見える手稲山に願いを伝えてみようかなとも考えております。

佐藤がティッシュ一枚を持って歩いているところを見かけましたら、「もう秋の鼻炎の季節ですね」などというお声掛けではなく、どのようなものでもかまいませんので、ちょっとだけ、ほんの少しだけ良いものとの交換を打診していただけましたら幸いです。

「そのティッシュを使っておもしろいことをやったら、いきなりコンサドーレのスポンサーを検討します!」という大変心強いお言葉がありましたら、佐藤、全力で佐藤的マジックを披露させていただきますので、いつでもご連絡ください。

それでは。

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